三次市中心部・三良坂・吉舎に都市機能集約へ 市が立地適正化計画

中国新聞記事 2025/1/31 より

三次市は人口減が進む予測を踏まえ、コンパクトで持続可能な市街地形成を目指す「立地適正化計画」を策定した。市中心部一帯の三次地域と、三良坂、吉舎の両地域に医療・福祉、商業などの施設のほか、居住を誘導するエリアを設定。およそ20年後を展望し、「川のまち」の防災や市全域をつなぐ公共交通ネットワークの方針も掲げる。

 市内の都市計画区域9079ヘクタールのうち三次地域503・1ヘクタール▽三良坂地域39・4ヘクタール▽吉舎地域57・7ヘクタール―の計600・2ヘクタールを「居住誘導区域」に設定。人口集積や公共交通の利便性、災害リスクなど5条件に基づいた。

 3地域の居住誘導区域の人口は2020年の国勢調査時点で計1万7726人。市全体では現在約4万8千人と減少が続き、40年に4万人割れの推計もある。都市生活のサービスを提供していくため、それぞれの居住誘導区域内に公共施設や医療機関、保育所などを集積する「都市機能誘導区域」も設定した。

 設定面積のうち三次地域は計197・9ヘクタール。市役所一帯の中心市街地▽古い街並みなどが残る三次町周辺▽市民ホールきりり周辺▽JR八次駅周辺―の4エリアを「都市拠点」と位置づけ、広島三次ワイナリーなどがある東酒屋地区を「文化交流拠点」とする。三良坂地域13・5ヘクタール、吉舎地域9・1ヘクタールについては「地域拠点」としている。

 計画期間は43年までとし、都市機能誘導区域内での病院や大型スーパーの休廃止は市長への届け出が必要になる。同区域外と居住誘導区域外への一定規模の開発・建築行為も対象とする。

 40年時点の目標値も掲げた。都市機能誘導区域の商業・医療施設などを10増の100施設に。居住誘導区域の人口密度を現状維持の1ヘクタール当たり29・5人とし、浸水時に住民の避難先となる緊急退避施設のカバー率を23年の55・4%から100%に引き上げていく。

 計画に基づく事業は国の財政支援が受けやすくなる。施設や居住の誘導施策のほか、市全域の交通網確保も進め「移動しやすいまち」を目指す。

 県北では庄原、安芸高田市が23年に同計画を策定。三次市は22年11月に着手し24年12月に完了した。市都市建築課は「企業進出などに人口密度の維持が重要になる。計画を三次の活性化につなげていく」としている。(林淳一郎)